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リサイクルトナーというビジネスモデル

別に、リサイクルトナーを製造しているのは、リサイクルトナーメーカーだけではありません。
キヤノンもリサイクルトナーメーカーと同じようにトナーカートリッジやインクタンクを回収し、リサイクルを行っています。
しかし、キヤノンのリサイクルトナー事業はその他のリサイクルトナーメーカーの製造方法とは根本的に異なります。
実は「リサイクル」という言葉の意味からすれば、キヤノンのリサイクル方法が正しい意味となります。
そもそもリサイクルという言葉の概念はもう一度元に戻すって「再生させる」という意味が含まれてます。
ですから、リサイクルトナーの正しい製造方法は、回収したトナーカートリッジを「一旦分解し、素材に戻してから、再度組み立てる」でなければなりません。
つまり、一般的に安価で販売されている「リサイクルトナー」は「リサイクル」ではなく「リユーストナー」が正しい呼ばれ方となります。
でも、一般的には「リユーストナー」とは言われないですよね。
それは、リサイクルという意味が、日本では「リユース」と「リサイクル」双方を含んだ意味で広がっているためです。
一般団体に「日本カートリッジリサイクルト工業会」というところがあるぐらいです。
さて、そのキヤノンの”正しいリサイクル”について解説します。

カートリッジは産業の米

半導体が「産業の米」と言われた時代がありました。
つまり、それほど、貴重であり製造業の基本を成す、いう意味です。
同じようにトナーカートリッジも貴重なお金を生む生産材です。
カートリッジの構造は極めて複雑です。
また、特許の塊でもあります。
そのため、製造ラインは複雑であり、開発には相当の年月を要しているはずです。
そのようなカートリッジは、キヤノンを始めてとするプリンターメーカーにとってみれば、まさにリユースあるいはリサイクルすべき対象です。
その貴重なカートリッジをキヤノン以外の第三者が利用し、トナーを詰め替え販売している訳です。
なんだか、普通に考えればおかしな話ですよね。
しかしながら、ちょっと考えてください。
キヤノンはプリンターを何万台も生産しています。
環境を考えれば、それらのカートリッジは、すべて「リユース」あるいは「リサイクル」されるべきものです。
しかし、そんなことがキヤノン一社で可能かどうか。
確かに、キヤノンからすれば「他人のふんどし」と言えなくもないのですが、考え方を変えれば、別にそれほどおかしな経済活動ではありません。
世の中には、同じような話は山ほどあります。
たとえば、「鉄」を例に取ると鉄鉱石から「鉄」を抽出して、様々な鋼材を生産します。
これはいわゆる「高炉」と言われる鉄を溶かす方式で生産される鉄です。
しかし、一旦作られて鉄をリサイクルする場合は、別の「電炉」と言われる鉄鋼メーカーがその鉄を溶かして「リサイクル」」します。
もともとは鉄鉱石から抽出した製品を利用していますが、これに文句を言う高炉メーカーはありません。
つまり、一旦ユーザーに販売されて製品そのものの所有権はユーザーにあり、そのユーザーがその製品をどのように扱おうがメーカーの伺い知れる部分ではないんです。
そもそも、このトナーカートリッジの歴史が古いため、カートリッジに関する特許はすでに切れているという、側面もあります。
キヤノンも可能な限り自社でカートリッジを回収したい、というのが本音ですが、ユーザーからすれば、安く利用できるリサイクルトナーメーカーにトナーカートリッジを渡す方がコスト的には圧倒的に有利です。

リサイクルトナーの本当のコンセプト

みなさん勘違いされているのが、リサイクルトナーメーカーは「リサイクルトナーを販売」しているって思われていることです。
リサイクルトナーを販売する会社も、一々そんなコンセプトを説明するのも面倒臭いので、「リサイクルトナー販売」としていますが。
でも、このリサイクルトナーメーカーはカートリッジは販売してません。
正確には「ユーザーの替わりにカートリッジにトナーを充填する」というビジネスモデルです。
但し、リサイクルトナーメーカーがやってることはそれだけじゃなくて、洗浄したり、部品交換したりという「サービス」も行っています
つまり、リサイクルトナーメーカーは、カートリッジを販売しているのではなく、お客様が持ち込んだカートリッジを整備し、「燃料」を補充するというビジネスモデルなんです。
但、お客様がカートリッジを持ち込むのも大変なので、回収までをサービスにしているってだけのことです。
このように考えると、自分も「リサイクルトナー」を利用した方が良さそうだと思うようになりませんか?
キヤノンのリサイクルトナーの発想は正に「カートリッジをリサイクルする」もので、リサイクルトナーメーカーのそれは「カートリッジに燃料を補充する」という考えです。
ですから、まったくビジネスモデルが異なります。
だから「リサイクル」ではなくて「リユース」なんです。