多品種少量印刷時代のプリンターの役割
トナーとはレーザープリンター用の塗布材料
インクはインクジェット用の塗料材料
トナーは極めて細かい「粒子」で、ドラムカートリッジという転写装置に、一旦トナーを付着させた後、紙に転写します。
原理からすれば、オフセット印刷機と同じです。
しかし、面白いのが、オフセット印刷機で使うのは「粒子」というトナーではなくて、インクという液体です。
最近では明らかにオフセット印刷機による印刷が減少傾向にあって、プリンターでの出力が増えています。
そもそも目的が違いますから、一概にこのままオフセット印刷機での出力が減り続けることはないのですが、おそらく傾向は変わらないように思います。
プリンター出力品質とスピード
この傾向が明らかになってきた要因は、プリンター出力の品質の向上とスピード化が上げられます。
10年前であれば、オフセット印刷機で印刷したカラー印刷物と、レーザープリンターやインクジェットプリンターで出力したものを比べれば一目瞭然でした。
そかし、年々その品質差は狭まり、横に並べない限り分からないようになって来ています。
スピードに関してはオフセット印刷機が一時間で8000枚から10000枚、印刷可能で、プリンターは早いレーザープリンターで時間3000枚可能です。
印刷に詳しくない方は、それほど差がないとお思われるかもしれないですが、オフセット印刷機は様々な大きさがあり、大きいオフセット平台印刷機でB全版、
小さい印刷機でも菊半裁です。
B全版では、B5の大きさで32面、A4であれば16面付きます。
また菊半裁版のオフセット印刷機であれば、A4で4面付きます。
つまり、現状でもオフセット印刷とプリンターを比べた場合、スピード差は、まだまだ話にならないレベルにあります。
では、なぜこのような差があるにも関わらず、オフセット印刷機での印刷物が減少傾向にあるのか。
それは、ニーズが「少品種大量印刷という時代から「多品種少量印刷」へと変化してきているためです。
簡単に言えば製品のライフサイクルが昔とは比べ物にならないぐらいに早くなったことを意味します。
気付いても方もいらっしゃると思いますが、マニュアルが添付されていない商品が多いことに。
ペラ一枚だけの商品説明でその中には、最低限の情報だけを載せて、「詳しくは以下のアドレスで」とかというもの。
あまりにも商品のサイクルが早いため、マニュアルを印刷するコストが利益を圧迫しかねないからです。
したがって、少ないコストで、より多くの商品を作り続けることが必須なんです。
それぐらい「多品種少量印刷」が当り前の時代だってことです。
この傾向をいち早く察知しているのが、プリンター業界です。
「多品種少量印刷」のニーズに合致させるためのラインアップを増やすことで、シェアのアップを図っています。
これがスピード重視からコスト重視への変化です。
今のユーザーのニーズからすればスピードではなくて、ランニングコストの方が遥かに重要になってきました。
そもそもスピードを争うようなケースは、出力が一度に「万」を超える場合のみです。
そんな枚数をプリンターで出力する企業が全体の何%あるのか。
逆に多少スピードが劣ってもランニングコストが20%低い方がよっぽどニーズがあります。
つまり、「多品種少量印刷」の時代にマッチした商品とは、「ランニングコスト」が如何に抑えられるかに掛っている訳です。
最近、家電量販店に行かれた方は気付いていると思いますが、必ず商品説明の欄に「1枚あたりのコスト」が明記されています。
これは、各社が勝手に書いている訳ではなく、明確な基準に則った数値が書かれています。
自分はプリンタを選択する際、この枚数を基準にします。
レーザーかインクジェットか
自分の会社には、当然ながら両方のプリンターがあります。
多くの会社はこの2種類を無意識の内に使い分けています。
大量印刷が必要な場合は「ページプリンター」
1枚とか2枚であれば「インクジェット」か「ページプリンター」
つまりインクジェットは、大量枚数をすること自体には、まったくの不向きなんです。
それは明らかコストが高く付くからです。
しかし、最近はエプソンからビジネスインクジェットプリンターなる製品が出されています。
カラー印刷の場合でのランニングコストはレーザープリンターよりも安いため、エプソンは、新たなプリンター市場で勝負しようと考えています。
しかし、インクジェットはあくまで、インクですから、リサイクルはありません。
今後当店も、この分野と如何に関わるかが重要ポイントになりそうです。